協議会会員、エバーフィールドが自社木材加工場をくまもとアートポリスプロジェクトによるプロポーザルで選定
くまもとアートポリスプロジェクト
木造加工場新築設計に係る公募型プロポーザル
最優秀賞に小川次郎/アトリエ・シムサ+kaaが受賞 木造施設協議会会員ののエバーフィールド(熊本市)は、後世に残り得る文化的資産の創造により地域活性化を目指す「くまもとアートポリス」プロジェクトに参加し、自社の木材加工場新築設計を公募型プロポーザルにより選定しました。
最終審査結果が審査委員長の建築家伊東豊雄氏からコメントと共に公表されています。
今回のプロポーザルのテーマは下記の二点でした。
①地域の工務店が施工する「新しく美しい木造スパン空間」の提案
②技術者の育成の場として活用から地域の活性化まで見据えた施設整備の提案
二次審査に残った5案のうち、最優秀案は小中断面材で構成されるレシプロカル構造を試みるという意味でスケールに向いており、圧倒的な独創性を持った提案であることが審査員一同で共有されました。「解決しなくてはならない施工上の問題などが幾つか残っているが、広く見学者がやってくる斬新な建築になると確信している」という伊東氏のコメントがあります。
スギの一般製材、4m以下で4寸角および半割材で構成した小さな単位の構造ユニットがお互いに支え合い安定し、大きなスパンをとばすという特徴的な構造が評価されています。
プレカットと手刻みを適材で併用し、木材同士が直接支圧を伝達することで、高価な金物を使っていません。
また、垂直・水平に加えて正確な斜めの加工、組み立てる大工技術が求められます。一見、複雑で突飛な構造は、実はシンプルな小単位の集合体で、エバーフィールドは地域工務店の技術の延長でありながらも大胆かつ集積された技術力の高さを存分に発揮できる計画を選ばれました。
2次審査に残った5社のプレゼンテーション動画、模型動画が公開されています。
完成した暁には見学会の開催も木造施設協議会とエバーフィールドとの共催させていただけたらと計画しております。 地域工務店の拠点となる木材加工場の新しいかたち・展開を、今後も協議会で見守っていきたいと思います。
----
パース・外観/無機質ではなく周辺環境に呼応する外観、傘のような屋根。
屋根も壁も、小さなトラスの構造ユニットで構成する独創的なレシプロカル構造。少しずつずらすことで屋根の曲面をつくっている。大スパンをとばすために大きな梁せいや特殊金物を避け、小断面のトラスで構成される。
下は内観イメージ。県産材木造ワークショップの様子。
株式会社エバーフィールド 平成28年に発生した熊本地震の際に、多くの仮設団地の建設に携わり、211戸の木造仮設住宅と13棟の木造集会施設「みんなの家」を建設しました。また、被災者の住宅再建を後押しするために耐震性やコスト低減に配慮した「くまもと型復興住宅」の建設や工務店による買取方式による木造災害公営住宅建設という新たな取組みに携わり、地域の工務店として熊本地震からの復旧・復興、被災された方々の住まいの再建に取り組まれています。このような経験を踏まえて、災害時に住まいの再建の原動力となる木造建築産業のさらなる活性化を目指し、木造建築の担い手である大工の育成、技術力の向上のための研修等に活用できる施設として木材加工場の整備を計画されています。
【くまもとアートポリスプロジェクトHP】
くまもとアートポリスプロジェクト 株式会社エバーフィールド木材加工場新築設計 公募型プロポーザル
【資料ダウンロード】
最優秀賞_技術提案書/小川次郎アトリエ・シムサ+kaa