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【開催報告】東日本・西日本「工務店地域情報交換会」
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【開催報告】東日本・西日本「工務店地域情報交換会」

【開催報告】東日本・西日本「工務店地域情報交換会」

話し手:木造施設協議会 事務局長 柿崎秀雄

【開催報告】東日本・西日本「工務店地域情報交換会」

2024年12月20日東日本工務店(参加約10社)、2025年2月7日西日本工務店情報交換会(参加約10社)を開催いたしました。

木造施設協議会では、工務店個社は小さいかもしれないが、工務店同士が集まり、語り合い、学びあう事で、工務店個社が強くなれる事を願っています。 毎年協議会では定期的にオンラインで情報交換会を開催しています。その場では、案件の用途・規模等の情報共有だけでなく、受注の経緯、コスト、競合、施工などを、詳細にわたって個社がお話しいただいております。

これら実践の情報は、参加された他の個社にとっても共有の課題である事が多く、その課題解決のヒントになっていると感じています。

今回の東西工務店情報交換会では、
まず協議会が直近で開催してきたイベントを紹介させていただきました。

「東住吉の古民家改修」建物見学+設計セミナー

築130年の古民家を、家族形態の変化に伴い、断熱・ 耐震改修をメインに「ハレ」 の際に利用する1階部分と日常生活の住居として利用する2階に大 きくテーマを分けて改修していました。

東住吉の古民家改修の住宅

東住吉の古民家改修の住宅

建築家 堀部安嗣×菅組木造施設ツアーin香川

さぬき市の国立公園・大串半島の高台にあった施設の建て替えを、 堀部安嗣氏の設計により新しく大串半島活性化施設「時の納屋」 として生まれ変わりました。

木造平屋の建物は、 四国に多く点在する米葉小屋を模した特徴的な腰屋根が印象的です 。 内部は南北に大きく開かれた開口部を引き込むと、 瀬戸内海からの心地よい海風が通り抜けていきます。

その後三豊市に移動し、 遠浅の海岸である父母ヶ浜にある宿泊体験型モデルハウスの「讃岐緑想」、緑化屋根が特徴的な商業施設、 地元の古材を集め展示販売している倉庫「古木里庫」を見学し、 夜は堀部先生を囲んで建築談義を時間の許す限り続きました。

時の納屋

時の納屋

讃岐緑想

讃岐緑想

古木里庫(株式会社 菅組運営)

古木里庫(株式会社 菅組運営)

エバーフィールド木造施設ツアー

伊東豊雄氏が審査委員長を務める熊本アートポリス構想において民 間事業者として採択されたエバーフィールドの木材加工場の見学と 完成するまでのプロセス等のお話をお聞きしたのとともに、 もう一つの大きなテーマだった石川県能登地方の地震による被災者 のための応急仮設住宅に対して、 いち早く手をあげて陣頭指揮を執ってきた「熊本モデル」 の生みの親であるエバーフィールド久原社長にお聞きしました。

EVER FIELD BASE 木材加工場

EVER FIELD BASE 木材加工場

株式会社 エバーフィールド 代表取締役 久原英司氏による講演

株式会社 エバーフィールド 代表取締役 久原英司氏による講演

加工場前にて撮影

加工場前にて撮影

相羽建設での施設建築事業の展開
後半は、 相羽建設の直近の事例紹介や工務店経営の売上において非住宅が占 める割合、ベテラン大工と若手大工の仕事のすみわけ、 今後の現場監督のあり方など幅広く説明や課題の提起などがありま した。

また受注に至る経緯なども模索中であるが、 OB客繋がりや地域との(マルシェなど) 繋がりや既存施設からの営繕繋がりなどの地道な活動や、 ゼネコンとの差別化で「上棟時の餅まき」 なども地域工務店として実践している話などがありました。

また紹介事例として名古屋の阿部建設のバリアフリーに特化したサ イトの開設やネットワークづくりなども今後の重要な市場となって いく可能性があることも紹介されました。

東京サレジオ学園 小金井管理棟(施工:相羽建設株式会社)

東京サレジオ学園 小金井管理棟(施工:相羽建設株式会社)

上棟時の餅まき

上棟時の餅まき

上棟式に参加したスタッフ

上棟式に参加したスタッフ

その他工務店の見学会の実践事例

東京の相羽建設の木造保育施設、 木造福祉施設の見学会では事業者や業者など各20名程の参加があ り、施設長が木造選定の経緯などを話されました。

また豊川市のイトコーでは、 ATA工法を初めて採用した倉庫兼事務所の見学会が開催されまし た。銀行・事業者など多くの方々が来場され、 鉄骨ではなく木材でも十分なスパン(22m) を無柱でできる事を実感されていました。

参加各社の施設建築の状況

参加された工務店の報告においてトピックス的なものをいくつか紹 介していきます。

福岡県の工務店からは神経難病重度訪問介護専門施設の受注経緯が 話されました。 最初は一般的な競争入札案件として話は持ち込まれましたが、 事業主に高性能な宿泊体験モデルに来場いただき、 自社のコンセプト・ 建物性能を体感してもらった事も受注の大きな判断材料となったと の事で、単純なコスト比較ではなく、 長年にわたり地道に住宅を作り続けてきた事の重要性を話されまし た。

香川県の工務店からは、 古民家ホテルの運営会社と合同で会社を設立し、 2棟の地元の古民家を改修し宿泊施設に計画中との話もありました 。 また医療コンサルなどとの連携から、 医者の代替わりによる建て替えや新築などの事案、 また銀行やOB客からの紹介などの話もありました。

昨年協議会に入会された奈良の工務店は、 元々長く吉野の木材を活用した住宅に特化されていましたが、 その後OB客の紹介で「学習塾」を受注されたとの事で、 まだまだ非住宅に対しては模索中ですが、 銀行や事業主向けのセミナー等で市場開拓を行っていくとの事です 。

その他では、自治会の集会場、グループホーム、調剤薬局、 関西万博の商業施設、サウナ施設、(住宅仕様の) お寺など幅広く受注・ 計画中の案件が創出されている事が分かりました。
またどれも100㎡から1,000㎡未満の木造施設で、 工務店でも十分対応可能な施設であり、 木造施設協議会が当初からターゲットにしていた木造施設規模とも 合致しており、 今後も木造施設が工務店の経営の新たな柱になるように、 情報交換会を開催していきます。

木造施設協議会について