住人同士のあたたかな交流を育む、木造3階建 集合住宅
「CLTの普及」と「上質なデザイン」の両立を目指して
TIMBERED TERRACE(ティンバード・テラス)(石川県小松市)
運営:株式会社梶谷建設
石川県小松市の郊外に位置する若杉町に全20区画の「グリーンビレッジ若杉」が2017年オープンしました。
緑豊かな新しい町並みは、随所に緑を配して「こよみとくらす」をテーマに四季折々の自然を楽しみながら、そこに暮らす住み手の方々が集まって、ひとつの大きな家族のようなコミュニティが形成されるようにと願い生まれたまち。その中心に、シンボル的な木造建築として「TIMBERED TERRACE(ティンバード・テラス)」があります。
これからの時代に向けた提案
「ティンバード・テラス」はスギCLTパネル(直交集成板)を床、壁に使用した木造3階建て集合住宅です。「木造賃貸住宅は低品質な住宅である」という従来のイメージをくつがえす、これからの時代に向けたプロトタイプとしてデザイン・設計されています。
木造集合住宅の弱点と思われていた遮音性能や耐火性能を、CLTの活用により克服し、自然素材の質感や断熱性能といった木のメリットを存分に生かしています。
自由な平面計画で実現したオリジナルデザイン
CLTパネルを用いた建築に起こりがちな、単純で画一化されたプランニングではなく、各住戸がすべて別タイプとなる「自由な平面計画」を実現しています。木材を使うことだけを目的としたCLT活用ではなく、普及とデザインの両方を具現化した、次世代のCLT建築です。
建物は全ての住戸を角部屋とし、同じタイプの間取りがない12戸の集合住宅として設計され、CLTと軸組工法を組み合わせることで、自由な平面計画を実現しています。
住人同士が集い会話が生まれる共用部
CLTを構造材としてだけではなく仕上材としても活用し、今後のCLT建築のデザイン手法のプロトタイプとなることを目指しています。ゆったりとした共用部を設け、居住者同士が交流を持てるようにプランニングされています。現代では少なくなった、あたたかいご近所づきあいが残る地方都市「小松市」ならではのコミュニケーションが生まれる場となっています。
まちの景色と調和する外観デザイン
周辺の戸建て住宅の町並みのスケール感から突出しないように、建物全体は2棟のボリュームを組み合わせた形状としています。周囲の勾配屋根の街並みに調和する、木造らしいシルエットを持った集合住宅です。
ティンバードテラスに住む人はもちろん、まちの戸建てに住む人も近隣に住む人も自由に集まり、四季を感じながらくつろげるよう、庭にはカツラやモミの木を植え、交流スペースを備えています。1階中央部分は通り抜けが可能で、まちに住む住人みんなが集まる公園とバーベキューテラスをつないでいます。
施設仕様
- 施工会社
- 株式会社梶谷建設
- 竣 工
- 2017年
- 意匠設計
- 株式会社 SALHAUS一級建築士事務所
- 敷地面積
- 968.53㎡
- 建築面積
- 299.66㎡
- 延床面積
- 779.22㎡
- 建物概要
- 共同住宅・木造地上3階建
- WEBサイト
- http://www.gr-village.com
- その他
- 「グリーンビレッジ若杉」
・ランドスケープデザイン:stgk inc.
2017年度グッドデザイン賞受賞