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開催報告|木造施設構造セミナーin東京
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開催報告|木造施設構造セミナーin東京

木造施設の構造を考え、共に学び合う

開催報告|木造施設構造セミナーin東京

話し手:山辺豊彦氏+今井信博氏+篠川将典氏

開催報告|木造施設構造セミナーin東京

2018年2月1日に東京で木造施設構造セミナーが開催されました。
第一回となる今回の構造セミナーでは、前半は木造施設協議会の顧問である構造家 山辺豊彦さんを講師にお招きし、地域材を活用した木造施設についてお話をしていただき、後半は地域性を踏まえた環境づくりに取り組んでこられた現代計画の今井信博さんと地域工務店である安成工務店の篠川将典さんにも登壇いただき、地域施設の課題と取り組みについて議論の場を設けました。

地域材を用いて大空間をつくる

セミナーの前半は、木構造設計の第一人者である山辺豊彦さんにご登壇いただき、地域材による木造施設の建築について、山辺さんが関わったプロジェクトとともにご紹介いただきます。

韮崎市の「すずらん保育園」の遊戯室には、大工さんが木材を重ね合わせて「重ね束ね材」とすることで、木造住宅にも用いられる一般的な木材で大空間を実現できることをご説明いただきました。

「木構造は接合部が大事。ポイントをおさえてつくることで、地域の大工や工務店も大きな木造施設をつくることができる。すずらん保育園をつくった大工が、『うちの孫もお世話になるからよろしくお願いします』なんて嬉しそうに話したりしてたんだよ」と。

会場はジャパン建材株式会社さまのレセプションホールにて

会場はジャパン建材株式会社さまのレセプションホールにて

山辺構造設計事務所の山辺豊彦さん

山辺構造設計事務所の山辺豊彦さん

にらさき保育園の遊戯室棟の建て方の様子

にらさき保育園の遊戯室棟の建て方の様子

山辺構造設計事務所が関わった事例として「正田醤油本社」の大改修工事のプロジェクトもご紹介いただきました

山辺構造設計事務所が関わった事例として「正田醤油本社」の大改修工事のプロジェクトもご紹介いただきました

木造施設の「構造」を考え、ともに学び合う

セミナーの後半では、構造設計家の山辺豊彦さんと現代計画研究所代表の今井信博さん、安成工務店の篠川将典さんによる対談が行われました。

コーディネーターの藤村真喜さんからの「課題はなんなのでしょう?」という問いかけから、意匠設計・構造設計・地域工務店それぞれの立場での取り組みや考えを伝えていきます。

●木造施設を建てる人材確保・人財育成にどう取り組むか
●天然乾燥材使用がプロポーザルの条件である際の留意点
●行政と事業者、つくり手のコミュニケーション
●地域の誰と連携し、どう働きかけるのか
●木造施設に対する情報発信不足
●職人と設計者がともに学び合う場の重要性

それぞれの項目について、地域での現状と課題を紐解きながら、その解決のためにどう取り組んでいくべきかを対談の中で探していきます。

意匠設計者、工務店、構造設計者での対談から

意匠設計者、工務店、構造設計者での対談から

木造施設を建築するために「人のつながり大事」と現代計画研究所の今井さんは語ります。
木造住宅の設計者も住宅からいきなり大規模施設の設計はむずかしい。住宅の延長上で考えられる規模の建物から構造設計家と協働して計画を進めていく。工務店も材木屋までは知っているが、その先の山側の林業までは知らないことが多い。でも木造施設の建築では山側から材木屋、設計者、工務店、事業者や行政まですべてがつながっていく。 木造で学校をつくる際、事業者やつくり手みんなで一緒になって定期的に学ぶ場を得た。事業者に木造の信頼性や価値を理解してもらうことが目的だったが、実は一番つくり手の我々が専門的に学ぶ機会になった。 関西ではMOKスクールなど、三澤康彦先生や文子先生が中心となって学べる場所がある。新しい取り組みにチャレンジする際や知識として不足がある際に相談できることが大事だと感じる、と。


安成工務店の篠川さんは「地元地域でも施設建築を木造で実現できる」ということを、同社のこれまでの実績から(事業者や行政に)知っていただけてきたことで、お話しができる環境が整ってきた、と語ります。
木造施設のつくり手の育成に関しては「むずかしい」としながらも、大工職人を社員として採用に取り組んできたり、建築家を自社に招いての勉強会を開催したり、建築に関わるスタッフが積極的に社外に飛び出して、情報を得たり良い事例を視察する企業風土があるそうです。 山口を中心に木造の住宅や施設などで実績を重ねている同社の姿勢が、事業の成長を支えています。

現代計画研究所 代表の今井信博氏。

現代計画研究所 代表の今井信博氏。

安成工務店の篠川将典さん。 地域の木造ゼネコンとしても高い認知度を誇る同社で施設建築の設計を担っておられます。

安成工務店の篠川将典さん。 地域の木造ゼネコンとしても高い認知度を誇る同社で施設建築の設計を担っておられます。

質疑もふくめて大いに盛り上がったディスカッション。まだまだ時間が足りないほどでした。

質疑もふくめて大いに盛り上がったディスカッション。まだまだ時間が足りないほどでした。

地域で木造施設をつくるための環境づくりを目指す上で、「人の問題」や「時間のコントロール」「プロジェクトの初期段階からの協力体制の構築」などが重要なポイントであること。全国で広がりはじめた木造施設建築という大きなうねりをしっかりと前に進めていく上で、ともに学びあえる環境や機会を増やしていくことが大切である、と結ばれました。

構造セミナーの司会から対談のコーディネーターをつとめた藤村真喜さん(写真右)。 野沢正光建築工房で設計に取り組んだ後、現在はOMソーラーに所属しながら、木造建築の環境設計の仕事や大学との研究、木造施設協議会の事務局の仕事に取り組まれています。

構造セミナーの司会から対談のコーディネーターをつとめた藤村真喜さん(写真右)。 野沢正光建築工房で設計に取り組んだ後、現在はOMソーラーに所属しながら、木造建築の環境設計の仕事や大学との研究、木造施設協議会の事務局の仕事に取り組まれています。

今回の構造セミナーの開催にあたり、すばらしい会場を提供してくださったジャパン建材さまからも同社の事業の紹介やさまざまな情報提供をいただきました。

今回の構造セミナーの開催にあたり、すばらしい会場を提供してくださったジャパン建材さまからも同社の事業の紹介やさまざまな情報提供をいただきました。

木造施設協議会について