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【開催報告】2018/11/27 第1回 木造施設ワーキングin静岡
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【開催報告】2018/11/27 第1回 木造施設ワーキングin静岡

「静岡県の保育園舎への営業連携に学ぶ」

【開催報告】2018/11/27 第1回 木造施設ワーキングin静岡

施設名:藤枝市/青葉ひよこ保育園、島田市/たけのこ保育園、駿河市/M-TAD事務所(静岡県)
話し手:村上博文氏+三澤文子氏+山崎健治氏

【開催報告】2018/11/27 第1回 木造施設ワーキングin静岡

11月27日(火)静岡市において第1回木造施設ワーキングが開催されました。

静岡県の保育園舎への営業連携に学ぶ

テーマは「静岡県の保育園舎への営業連携に学ぶ」と題し、静岡県内にて地元大学保育研究者、地元教育出版社、設計士、工務店、木材流通者等が今年より連携している実践を学びました。今までの地域連携との違いは、建築関係者だけでなく、幼児の健康・行動と建築(室内環境)を保育側から研究されている大学研究者や保育の現場を常に見たり保育士の話を聞く事が多い教育出版社など業種を問わず横断的に集まり、幼児や保育士にとってより良い保育園舎について議論し、営業、設計や施工に取り込んでいこうという実践である点にあります。

まず午前中に、先日上棟したばかりの木造園舎を見学いたしました。設計は地元のこころ木造建築研究所の山崎健治氏によるもので、地元大井川水系の木材を構造材に使用した建替えの木造園舎になります。旧園舎は山間にあり、園児は裏山に登ったり、隣地の畑で野菜の収穫をしたり、まさに自然を五感で感じながらの保育を実践されており、今回の木造園舎はまさに園長の保育方針に合った建物でした。次に見学させてもらった木造園舎も、同じく山崎氏の設計によるもので、地元保育園の第2園として昨年オープンいたしました。中庭を囲むように保育室、ホール、厨房、事務室が配置されており、どこからも自然を感じ取れる、また風が流れる園舎となっています。また2園とも広い縁側と軒の出があることで、外との一体感を感じられる心地良い空間になっていました。

昼食後の午後は、今年4月に静岡市内にオープンいたしましたM-TAD(共同事務所/Ms建築設計事務所・主宰・三澤文子氏とこころ木造建築研究所・代表・山崎健治氏)の事務所にてワーキングを開催させていただきました(M-TADは、静岡県内にて木造園舎(ほか木造施設)を推進するための意匠・構造・防火・環境などの設計集団)。まず始めに常葉大学保育学部選任講師の村上博文氏より、幼児の行動と建物の室内環境や保育の質についてご講演いただきました。建築側ではわからない保育学ならではの視点による研究成果などは大変興味深い内容であり、木造施設協議会では今年数回各地(東京・栃木・新潟・静岡)にてセミナーにてご講演をいただいております。次にMs建築設計事務所主宰の三澤文子氏からは岐阜県にて既存のRC造の小学校の1階を木質リノベーションした保育園舎の実践報告や今年開始したばかりの静岡県の取り組みにおいて既に複数の保育園から、木質リノベーション、建物診断、建替え相談等の具体的な事例の経緯や内容について報告いただきました。次にこころ木造建築研究所代表の山崎健治氏からは、地域の設計士や工務店でもできる「園舎のみどころMAP」「保育園の親子木工教室」「保育園の杉板貼りプロジェクト」などをご提案いただきました。大々的な仕掛けではなく、個人事務所や小さな工務店でもできる内容であり、地域の保育園に対する身近なところからの接点づくりとなっています。

各講師の方々のご講演・ご報告のあとは、フリーディスカッションや懇親会にてより内容を深めていきました。参加者の中には、静岡の実践が新しい取り組みのため何か特別な工夫があるのではと思われたようですが、実は身近なところを応用したものであったり、保育園が身近な存在だったりを再認識されていました。

文責:一社)木造施設協議会事務局

セミナー開催日:2018年11月27日(火)

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