ジャーナル
各地の木造施設建築の動向、公民連携への取り組みを学ぶ
工務店が地域で事業者や設計事務所、行政とともに連携・協働を目指して
2022年度、木造施設協議会は大きなテーマとして「連携・協働」を掲げ、今年最初のイベントとして1月に「東日本地域情報交換会」を工務店14社、協賛企業2社で開催しました。さらに2月3日より「公民連携リレーセミナー2022」がスタートします。
コロナ化・資材ショックを生き抜くための「情報」
コロナ禍・ウッドショック等により時代が大きく変革を迎えているいま、工務店が事業者や設計事務所、行政とともに連携・協働を目指していく上で、重要なキーワードは「情報」となってきています。
今回の情報交換会では、会員工務店各社の情報を共有し合い、参加者みなで分析検討をし、また各地域でそれぞれが創意工夫をしながら実践に活かしていくことを目的に、活発な意見交換の機会となりました。
大工の技と工夫でつくった木材加工場が、地域での連携と多数の受注へつながった
まずはじめに、長野県上伊那郡箕輪町にて代々工務店をされてきた北沢建築・北澤社長から、工務店として地域に欠かせない集会所や木造施設などを建ててきた後に住宅建築にシフトしてきた経緯からお話しをいただきました。さらに、自社の加工場を計画する中で鉄骨ではなく、住宅で用いる一般流通材の地元木材を組んでつくり上げて行ったことで、地元との繋がりや波及効果が起こったこと。地域の診療所、薬局、士業の事務所、商業施設など30坪程度の木造施設の受注に至っていったことを話していただきました。
木材の良さを地元へ伝えているだけでなく、社員大工の誇りの象徴としての木材加工場が、つくり手の意識を高めてきた部分などはインナーブランディングの効果もあらわれています。さらに事業主から紹介されて開業コンサルティングと連携する事で、木造施設の建築コストや意匠デザイン、建築フローがパターン化され、工務店の経営の柱のひとつとなっていることも、具体的な資料をもとにご紹介くださりました。
工務店・協賛企業同士の情報交換で知恵を集める
北澤社長の話を受けて、情報交換会に参加した会員工務店、協賛企業からも近況報告がされました。
各社、保育園、事業者の社員寮、サービス付き高齢者住宅、障がい者施設、社寺の客殿、セレモニーホールなど幅広く受注されており、その紹介経路も、銀行からの紹介であったり、工務店に勤務する社員のお子さんが通う保育園繋がりからであったり、自社で施工した住宅のOB顧客が団体の理事であったなど、受注の繋がりも幅広く多様でした。
また一般的に住宅はそこに住むご家族にとって一生に一度だけれど、事業者にとっては施設建築は新築だけでなく、建替えやリノベーションなどが複数回に渡り計画されるケースも多く、事業者と設計事務所、工務店が長くお付き合いをしていける環境づくりも大切であるという意見も出されました。
最近ではSDGsの観点から、事業者が木造施設を意識したり、銀行の融資の面でも評価が高まる傾向にあり、木造や木質化が事業者や行政から注目されている状況について具体的な話が上がりました。
2022年、公民連携リレーセミナーへ
2月3日(木)から開催がスタートする「公民連携」をテーマとしたリレーセミナーに向けて、ParkPFI事業として公園管理を行政から民間企業に委託する事例が出てきていることや、2021年に実施された「事業再構築補助金」などについても議論が及びました。参加された各社は会社規模も地域のロケーションも違いますが、今後の木造施設であり、連携・協働の展開に向けて、たくさんのヒントが得られる機会となったのではないでしょうか。
コロナ禍やウッドショックなど外部環境により大きく影響を受ける建築業界。いま、工務店や設計事務所が行政や事業者、地域連携者といかにつながり、ヒトやコト、モノと拠点など地域資源を生かすことができるか。「公民連携」には今後の大きな可能性があります。
【公民連携リレーセミナー2022】 第1回 「地域工務店の公民連携」2月3日(木)10:00-オンライン開催
・タウンマネージャー 國廣純子氏より「公民連携」ガイダンス
・大野建設 大野哲也氏 「コロナ対応の応急仮設住宅の取り組み」
・エフ・ベース 丸山勲氏 「地域の空き家対策NPOかけがわランド・バンク」
・相羽建設 遠藤誠・相羽健太郎 「東村山市との連携|公園管理ParkPFI・Web会議ブース等」
詳細・参加申込はこちらから
http://mokuzoushisetsu.or.jp/info/info-4225/