ジャーナル

WoodJournal
建築家 小堀哲夫氏設計セミナーレポート
WoodJournal

ジャーナル

建築家 小堀哲夫氏設計セミナーレポート

建築家 小堀哲夫氏設計セミナーレポート

話し手:小堀哲夫氏|株式会社小堀哲夫建築設計事務所

建築家 小堀哲夫氏設計セミナーレポート

建築家 小堀哲夫さんをお招きし2021年2月に開催したセミナーのレポートです。
小堀さんはROKI Global Innovation CenterではAIJ日本建築学会賞とJIA日本建築大賞をダブルで受賞を、日華イノベーションセンターではデダロ ミノッセ国際建築賞、BCS賞を受賞され、多数のオフィスや大学の設計を手掛けられています。
コロナ禍で多くの人々がリアルとオンラインとを行き来し働き方が多様になった中で、あらためて多様性や創造性を支える環境、つながりをどのように建築でつくっていくのか、空間や場づくりにおける木の可能性や展開について小堀さんのお考えをお話しいただきました。
さらに、小堀さんご自身の大工技術や木との関わりや、住宅の設計というなかなか聞けないお話もご紹介いただいた特別な機会となりました。

大工の棟梁の父、光と闇の原風景

私の設計する建築は木造が多いです。その理由を考えてみると自身のルーツと関係していることに気づきました。

私の父は大工の棟梁で、僕の記憶の父親は耳に鉛筆があって1人で黙々と墨壺で線を引き、木を刻んでいる。これが僕の原風景かなと思います。

もう一つ、田んぼが刻々変わっていく風景を常に見ていたとことは自分にとって得難い経験だったと今ながら思います。

家のすぐそばにはお寺があり、そのお寺は父親が建てたもので現場によく遊びに行っていました。自宅は父親が建てたもので、僕が育った場所ですが、ここで過ごしたことが自分の中でどんな建築感につながったかを考えてみました。大黒柱は、非常に黒光りしていました。庭と建築の関係、室内は暗くて、逆に庭は明るく、光と闇のグラデーションのようにつながっている。自分にとっては強烈な体験だったと思います。庭には盆栽やサルスベリなどの立木があり、小さい時に那智黒石を並べ、庭を一緒に作った記憶があります。トイレは別棟で一度外に出ないとならず、子どもの時はこの古い家に友達を呼ぶと少し恥ずかしい思いもありましたが、この家とまわりの風景が建築家としての原風景だと思います。

身体的な感覚や自然との繋がりを求めて

僕が父を見て「大工は孤独だ」というイメージをもちました。家もほとんど1人で作るんですよね。ものづくりの世界にいる父親に対しては、尊敬の念とともにどこか怖いと感じていた記憶があります。
僕は大学の建築学科に入りましたが、山登りにはまっていきました。それはなぜかというと、東京に憧れてきたもののリアルな身体的な感覚や、自然とのつながりの希薄さにすごく嫌気がさして山に登り始めました。山は光や風景が一瞬のうちに変化し、その劇的な自然の変化は僕の中で大きなテーマを刻んだと思います。
何かチャレンジすること、冒険心、身体的な体験というものが自分にとっては重要であり、旅その一つだと思っています。今つくっている建築は原風景や山登り、旅などが一続きになっている気がしています。

槍ヶ岳提供:小堀哲夫

槍ヶ岳

つながって住む木造長屋

東京にきて1番不思議に思った事は近所付き合いがないということ。田舎独特の濃い付き合いが苦手で抜け出したにも関わらず、やはりもう一度つながって住むということが重要だと思うようになり、ここに住むようになりました。現代版長屋で、6世帯ロの字型の住宅で中庭があります。

この中庭ではみんなで集まって焚き火をしたり、ご飯を食べたりしています。非常に程よい距離感で集まって住む。帰ってくるとほっとする空間がここにはあって、木造というつくりがコミュニティーを繋げているような気がしています。居住スペースは共用する庭から半階上がっていて、リビングとは目線が合わない設計になっています。

木造には人を優しくつなげる力がある

この木造住宅に住む感覚が、昔住んでいた家に似た光と闇の世界に似ていて、記憶の中にある木の匂いや肌触り、人々が集まる様子が僕にとっては心地良かったですね。僕はたくさん木造住宅を設計しますが、優しい気持ちになったりする力が木にはあるんだろうなと思いながらいつも設計しています。

木を多用した自然の変化を感じるオフィス(ROKI Global Innovation Center)

ROKI Global Innovation Center(ROGIC)を設計していた時は、自分の原風景の光と闇であったり、庭との一体感など、実は自分が育った環境が影響していたと最近になって思いました。ROGICも木を沢山使いました。木の格子の構造体を入れ、天井にROKIフィルターを使っています。鉄と木の集成材のハイブリットで、一つ一つ職人さんが3次元加工してプレカットで持ってきます。鉄骨は一つ一つ現場で調整し、職人の技術を結集させて出来上がったものです。南側は池と庭になっていて明るく一方の北側は暗くなっており、自由に働く場を選べるようになっています。南の開口は天竜川から上ってくる風が入ってきます。トップライトからも風が入り、天井はフィルターになっているので風が通り、フィルターが吸音材としても機能しています。障子のようなフィルターを通して、曇ったり明るくなったり、外の光が感じられる室内空間になっています。自然の光の変化を感じながら生活をするという、今までのオフィスでは体現できなかった経験がこのオフィスにはあると思います。

ROKI Global Innovation Center撮影:新井隆弘

ROKI Global Innovation Center

自然と建築が溶けこむ私の居場所、あなたの居場所

その後、僕はスリランカでジェフリー・バワの建築を見ました。僕にとってはかなり衝撃的な建築でした。

提供:小堀哲夫

この写真はカンダラマというホテルから見た風景なんですが、最初クライアントはsigiriya lion rockという場所の近くにホテルを建ててくれと言ったんですが、バワはそこからはるか離れた敷地、湖のそばに、しかも岩の上に湖を見るように建築をつくりました。自ら土地を選びとってこの建築を作っています。森の中に埋もれていて、すぐ側まで鳥や動物がやってきて、まるで建築と自然が溶け込んでいる未来の建築を見たような感覚を覚えました。

この建築のあり方は、その後に見たバワの別荘ルヌガンガと共通点を感じました。その共通点は、建築家が見たい風景を構築するという徹底した自分目線の建築、わがままと言うことではなくて、自分がどういう場が良いかということを信念を持って作り続けている姿勢だと思ったんです。バワはイタリアの方でビラを購入しようとしたのですが叶わず、自国のスリランカで農園を買い取ってイタリア風のビラを作っていくんです。実測して分かったのが、巨大な土地の中で自分の理想の風景を作っていくと同時に、すべての場所にバワの居場所を自分中心に展開していくという姿勢であり、軸線を通してランドスケープを一体的に作っていくんですね。

提供:小堀哲夫

一つ一つその風景をつくりながらゲストハウスを増築していく感じです。これがバワが建築を始めた原点なんですね。この風景は池の中に中島があって、池と中島を見る絶妙なランドスケープと建築を空間として閉じ込めることをやっています。先程のカンダラマと似たような土地を探したんだなと考えました。違うかもしれないですが、両方を見たときに風景の共通性、自然と建築のつながり、自分中心から宇宙が広がっているという感覚がやはり建築には非常に大事で、いろんな社会的要件や経済があるにしても、やはり建築を設計する人は自分の記憶や経験を元にした主体性を持ってつくっていく姿勢がなければ人々を動かすことはできない、人々から共感を得られないと僕は思っています。ですから、どの空間もバワの居場所であり、あなたの居場所でもある、という不思議な感覚でつくられていることに気づいた時、建築というものは永遠性を持っていくような気がしています。もう一つ、バワの建築は木造なんです。イタリアの石造から全て柱を木に変え、ドリス式の木の柱を作りながら折衷的に建築を作っていってます。この西洋とアジアを繋げとめた建築、石造の柱を木に変化したときに表れる新しい感覚、これが僕は非常に新鮮だと感じました。

老舗の建築の記憶をふたたび(べにや旅館)

光風湯圃べにや撮影:繁田諭

光風湯圃べにや

福井県あわら市にある「べにや」は有名な老舗旅館でしたが、2018年に火事で焼失してしまいました。残ったのは庭だけだったんです。もともとの建物は有形文化財に指定されていた古い数寄屋造でした。歴史のある建築に染み付いた記憶をどうやって新築で表現するかが設計の大きなテーマとなりました。べにや旅館に泊まったときのあの迷路のような廊下、そして奥へ奥へと続く不思議な空間構成、何か妖怪がいるんじゃないかと思うような妖しさ、庭との連続性のあるつくり、日本の建築では当たり前と言えば当たり前なんですけど、増築を繰り返し時代を超えていく不思議な佇まいを含めて、どうつくっていくかに苦心しています。

もともと2階建ての旅館だったのを平屋にし、敷地いっぱいに展開しています。分棟形式で全てに光と風が通るような設計になっています。現代の法規に合致させながら拡張性のある建築にするため、耐震要素としてはコンクリート、鉛直荷重としては鉄骨、一部梁は鉄骨を多用しながらハイブリット構造にしています。べにやさんと一緒に木材を見に行き、坂本林業さんという吉野杉を使ったベッドを作っています。

 17部屋すべてが違うつくりで、多様性のある空間構成を目指しました。トイレも含めて全てに光が入るようになっています。全ての部屋に坪庭、源泉掛け流しの温泉があり、温泉熱を利用した床暖房が入っています。

町と建築をつなぎ地域を循環させる

(設計依頼を受けた時には)設計に先んじて女将さんをはじめ従業員の方、同志社女子大学名誉教授の上田信行先生とワークショップをやりました。火事が起きた後に何が大事だったのか改めて感じたことを議論したら、建築が燃えてなくなってしまっても気持ちはやはり残っている。建築という場を通して伝播しているんですね。

日本に残る名旅館、俵屋も柊屋も佳水園など村野藤吾や吉田五十八がつくった数寄屋建築を僕たちが模型にして持っていきました。ただやはり旅館というのは採算が合わない事業で、どこの温泉旅館もコロナもあってバタバタと潰れている状態なんですね。私たちは町ぐるみでどうするか、農家の人たち、食材の作り手など地域の人々を集めて地域全体で復活していく、進化していく、循環していくことを目指しました。テリトリオという概念をもとに、みんなで少しずつ出資し合いながら、このプロジェクトを通して町と建築をどうつなげていくかということを考えています。そういった意味で木造、木もそうですし地域をどう循環させていくかというのが非常に大きいテーマだと思っています。今年竣工予定(2021年7月オープン)ですけれども3年4年ずっと町と付き合いながら、地域とこの建築がつながっていくといいなと思っています。

建築と家具

建築と家具をつないで考えて、中間的なものをどうやって建築の中につくるか。それを考えるきっかけになったのが岐阜の家、僕が独立して最初に設計した姉の家です。予算が全然なく、平屋のワンルームにドーナツ状のプランニングで建築をつくりました。

この家族はすごく仲が良くて、必ずリビングで団欒し部屋に戻るので私たちが提案したのは真ん中にLDKという大きなボリュームがつくり、周りに個室があるプランでした。真ん中に暖炉、開閉式のトップライトで風が流れるとようになっています。テーマになったのがどうやって安く作るかでした。そこで岐阜の材木屋で1本200円位で買える間伐材に注目しました。間伐材をブロック状にプレカットしてもらったんですよ。これをレゴブロックのようにピースにして積み重ねようと考えました。耐久性を高めるため一個一個バーナーで焼いて焼杉状にしました。

それを事務所のスタッフとアルバイトで現場に運んでつくったんですね。女性1人で運べるというのが条件にして、その大きさに刻んでいきどんどん積み重ねていくという感じです。大工さんが1人指導のために入ってくれたんですけど、この大工さんは私の父と一緒に働いていた方です。父は当時まだ元気で手伝ってくれました。乾燥、製材には時間がかかりましたが、これだけのメンバーで一気に二日間で全部を積み上げました。

この設計図は我々がひとつひとつナンバリングしてどの形状をどう組み上げていくかということをリストをつくってプレカットしました。Excelの表というのが設計図書にあってそれを全部学生たちと作ったと言う感じです。

もう一つは家具はヒダクマさん(https://hidakuma.com/)という会社と一緒に作ったんですが、これはCITTA(https://hidakuma.com/blog/20200224_citaa_the_work_desk/)と言うブランドとして今展開しています。木材をできるだけ薄い一枚板で提供できないかということにこだりました。ヒダクマと言うのは飛騨高山にリノベーションしてファブラボを作っていて、地元の職人さん達とのネットワークの拠点になっています。そこに私たちは木材探しや、それを圧縮してどうやって薄くしていくか、どういう家具を作っていくかという試行錯誤をしながら家具を作りました。脚は岐阜の鍛冶屋さんに作ってもらってシンプルなデスクを作りました。

木による地域循環

木の可能性を考えると、循環という意味で山には非常に可能性があると思っています。真庭市のプロジェクトでバイオマス発電を見学しましたが、銘建工業がCLTと共にバイオマス発電を運営しています。すべての木材屋が必ずバイオマス発電所に木チップを廃棄するという約束のもと、非常に足並みが揃っている。50%位だと釜を閉じないといけないし、採算が合わない。でもみんなが絶対にクリーンエネルギーでやろうと市と共に取り組んだ結果、市の電力も木から生まれている。役所もそうですし町自体も再生エネルギーで成立するというのを聞いて非常に木の可能性を感じました。

都市での木造住宅

Y House撮影:新井隆弘

Y House

うちの事務所は年間数件住宅を設計していて、木造が多いです。この事例は、防耐火の法規もあるので、都心の木造3階建てをどうやって木をきれいに見せていくかということを考えました。ガルバリウムのサンドイッチ断熱材に木の板を貼り付けた材料を開発して外壁に使ったり、ロ準耐1号という外壁耐火にすることで、3階建てなんだけれども内部は木造にしています。木造なので今はワンルームになっていますが、子供部屋を作ったり、部屋のリノベーションが非常に容易になっています。コンクリートの外壁の中に木造の建物がインハウスで入っているという感じです。1階がアトリエで今は上に住んでいますが、木造の床を抜いて吹き抜けにしてしまえば大きな空間として、ギャラリーなどにできる柔軟さがあります。

Y House撮影:新井隆弘

Y House

木の魅力は

Q:コスト面をクライアントに説明する中で、木造の魅力をうまく伝えられないとありますが、建築における木ならではの魅力とはなんだと思われますか?

例えば1から数寄屋を作ろうとすると、とってもコストがかかって現代としては高級な材料になっていますよね。もう少し適材適所的なここはコンクリートにしようとか、ここは鉄骨にしようとか、ハイブリットな構造の建築計画は一つの回答だと思います。べにや旅館の設計がまさにそれです。全部木造で見積りを取ると全然コストが合わない。そこから少しずつ耐力壁はコンクリートの方が成立しやすいとか、いろんな現代の技術をミックスしていけば、木材をうまく活用できる。外壁耐火で都心で木造3階建て住宅を設計して内部は木をきれいに見せるなど、現代的に考えて木の魅力を出していく。ローコストでもそれは可能だと思います。

ワークショップで枠を広げ主体的に提案する

Q:クライアントのニーズの引き出し方について教えてください。

みんなの意見をすくい上げ、「これをこうしたい」「はい、わかりました」と形で提案するだけでは何も共感は得られないと思います。自分という人間を通して、その事務所を通して創造的なものを提案しないといけないと思います。小堀事務所ではかなり注意深く吟味したものを提案することを目指しています。プロセスのひとつとしてワークショップをとり入れています。

ワークショップとただニーズを聞くことの大きな違いは2つあって、1つは通常であれば打ち合わせに参加しないような人たちにも参加してもらい、建築プロジェクトを共有できるということ。2つ目に、建築計画とは制限のあるものですが、制限を超えた先に未来を語れる瞬間があって、ワークショップでは設計者側が大きく主体性を持って考えられるようになり、盛り上がっていきます。みんながこういう考え方があるんだ、そのような未来があるんだということ知り、一緒に作りたいと思うきっかけになります。自分たちでも認識できていなかったような小さい声も、ワークショップによって僕らはすくい上げることができるんです。

ただし、独善的であるとよくないので我々も注意深く提案します。事務所内でよく考えてこれだったら皆納得してくれるだろう、これだったらみんなからもっと良い意見が出てくるんじゃないかということを考えながらやるので、ワークショップというプロセスが普通の設計行為の枠を大きく広げてくれています。人の枠、概念の枠を大きく広げていける場になっているのではないかと思います。

制限の先に自由で希望のある建築

Q:面積効率や空調効率といった従来的な制限をクライアントに説明する難しさがあると思いますが、手法がありますか?

面積の制限とか空調の効きづらさはある意味、与条件ですよね。そういうものは非常に重要な設計のテーマではあるけれども、主たるテーマではないという気がしています。

我々が考えている制限、予算、敷地計画、そういうものを一回リセットして、どういう新しいものを作り出せるのかを考えることの方が非常に重要ではないかと思っています。

例えば、住宅であればLDKという概念、何畳とかそういう制限から考え始めようとしますが、そもそもどういう住宅に住みたいか、何がその家族にとって大事かということが先です。みんなが普通に信じていた規制や制約の概念の先、未来みたいなものを建築を設計する者は提示していかないといけないと思っています。規制や制約をなくすというのではなくて、そっちから先に始めるのはまずいんじゃないかなという気がします。

「こうしたい」ということ、もっとポジティブな「こうなりたい、ありたい」ということを両軸で丁寧にクリアにしていかないといけないです。今、建築界では制限の最大公約数的な建築だったり、ネガティブな考え方から出来上がったプロセスがあったり、希望がないと感じることもあります。でも、僕はもっと建築は希望に満ちていて、その空間に入ったらワクワクするとか多様な場のイメージを持ちながら自由に作られていいんじゃないかと思っています。

納得と共感で建築をつくりあげる

Q:クライアントに提案する際にどのようなことに気をつけていますか?

先日レゴのデザイナーとズームで対談したんですが、レゴの雰囲気って子供も大人も何か楽しい感じがするでしょう。何か作ってみようと思わせる1つのツールなんですよね。建築もそれだと思います。建築という1つのオブジェクトに携わることは楽しいと思うし、できた後もその中で希望を見出したり幸せになったりできるという1つの場なんですよ。設計側がその気持ちを持っていなければ、そのような空間は創出できません。建築はやはり共感とか納得されてなんぼですよ。絶対に押し付けものではありません。納得させることが大変だった感覚ではなくて、納得するものしか出していないという感覚ですね。

ワークショップもそうですし、いろんなツールを使うけれど結局、重要なのは設計して提案する側のすごい配慮が必要で、独善的ではないけれども主体性はあるというものにするのは、難しいですよね。

「あなたが想像できない新しい形はこれだ」という主体性を持って提案するということが非常に大事。向こうが言ったものをそのまま出したのでは共感は得られないですよね。「違います」と言われたら「ごめんなさい、間違いました」って取り下げて違う案を出します。その繰り返しですよね。だから毎回毎回、真剣勝負です。

主体性を持って提案して向こうが想像だにしなかった場合もあるし、「これは素晴らしい」と言ってくれる瞬間が楽しい職業だなぁと思いながら常にやっています。だから模型や図面をどのタイミングで見せるかなど特に気をつけていて、まるで相手に喜んでもらうためにケーキを見せるような感じですよ。説得なんてしようと思ってないです。プレゼントなんですよね(笑)

木造施設協議会について