太陽のチカラを取り入れ、地域の木と手でつくられた校舎
架構をあらわす、モノの成り立ちをこどもたちに伝える
熊本県和水町三加和小中学校(熊本県和水町三加和)
運営:熊本県和水町
複式授業になっていた地域の3つの小学校の統合に伴い、小中学校併設型校舎を整備したプロジェクトです。地場産の「アヤスギ」の無垢材と束ね重ね材を組み合わせた構造システムを採用しています。小学校校舎は平屋の深い庇の木造、体育館は徐々にせりあがる束ね重ね材による大スパン架構です。太陽熱集熱換気システムを導入し、冬は暖房と換気、夏は外気取り入れにより快適な教室の環境をつくっています。
敷地の高低差を生かした配置計画
敷地の1.2mの高低差を生かし、できるだけ敷地の形状を維持した配置計画とした。管理棟、中学年棟は中学校と同じ床レベルでつながり、中学年棟の基礎ピットは雨水貯留槽として利用しています。中学年棟にある音楽室は南面を小学年棟と同じGL+450mまで下ろし、階段状の小ホールを思わせる空間になりました。低学年棟は中学年棟と同じ平面を持ちながら大いに趣を異にしています。低く抑えた軒先によるものですが、910㎜という住宅レベルの柱割に合わせて建具寸法を1800㎜に抑え、できるだけ身近で落ち着ける棲家となることを心掛けました。
こどものスケールに合わせた教室
低学年用教室は南側に専用のグラウンドが広がる配置です。南側校庭に直接出ることができるようにデッキが連続し、深い庇が夏場の強い日射を遮ります。既存校舎とフラットに接続する北側のレベルには中学校教室や段床の音楽室を配置し、中庭を挟んでスロープでロの字型につながる構成として子供たちが自由に回遊できるようにしています。
地場産材による束ね重ね材による大スパン架構
軸組が徐々にせり上がる精密に組み合わされたユニットによる大スパン架構です。すべての材はミリ単位でその仕口が異なり、CADの教える数値を大工さんが墨付けして加工しました。「大工」という宝のいる国ならではの木造架構です。
施設仕様
- 施工会社
- 本山建設(小学校校舎)、三和建設(体育館)、宇都宮建設(中学校改修)、日東システムズ、正興電気商会、有明電設、コゥ・テック
- 竣 工
- 2013年12月
- 意匠設計
- NNSH設計共同体(野沢正光建築工房+一宇一級建築士事務所+UL設計室+東大森裕子時空間設計室)
- 構造設計
- 山辺構造設計事務所
- 敷地面積
- 38179㎡
- 建築面積
- 2145.80㎡(小学校及び体育館)
- 延床面積
- 1965.17㎡(小学校及び体育館)