施設実例

森の中にいるような新しい食堂棟と空中デッキ

50年の歴史を経た研修施設が取り組んだ新たな木造の提案

大学セミナーハウス「Dining Hall やまゆり」(東京都八王子市)

運営:公益財団法人 大学セミナーハウス

開館50周年の記念事業、新食堂棟建設は敷地選定からはじまりました。最終的に、ユニットハウス5、6群の跡に<ぐるぐるつくる大学セミナー・ハウス>の活動でお花見の広場として活躍していた見晴らしのよい尾根に決まります。

大学セミナーハウス敷地全景写真 大学セミナーハウス

大学セミナーハウス敷地全景

地域の研修施設として活動をひろげるなかで、地域の職人とのつながりを考えたいという提示があり、地場の材料で建てる木造の提案に決定します。傾斜地に高床のコンクリートの人工土地をつくり、そこに木造一階建です。

斜面の人工土地とデッキを見上げる(c) Eiji Kitada

斜面の人工土地とデッキを見上げる

多摩産材の杉を使って、木造在来工法<木造ドミノ住宅>システムを応用した伝統的職人の技術で建築されました。

在来木造、柱梁の架構で空間を構成した客席スペース。(c) Eiji Kitada

在来木造、柱梁の架構で空間を構成した客席スペース。

1960年代にコンクリートの新しい形を提案したセミナーの建築は、半世紀後に木造の大規模施設で時代への新しい提案をすることになったのです。

完成後のもう一つの大きな課題は、メンテナンスの問題です。設備は露出配管・配線として、職人の手で管理ができるように、使い続ける工夫をしています。50年の経験からの提言は、建築を人の手に再び取りもどしています。

木と柱と梁が連続する食堂棟の建築。室内を歩き空中デッキに佇むと、まるで八王子エリアを広く見渡せる森の中にいるかのように、気持ちのよい景色が見る人の目に飛び込んでくるのです。

セミナーハウス敷地内の尾根に完成した食堂棟。周囲の樹々に包まれるようなロケーションは見事。(c) Eiji Kitada

セミナーハウス敷地内の尾根に完成した食堂棟。周囲の樹々に包まれるようなロケーションは見事。

空気が澄んだ日には遠くに富士山も見える。(c) Eiji Kitada

空気が澄んだ日には遠くに富士山も見える。

空中デッキにて夕暮れ。(c) Eiji Kitada

空中デッキにて夕暮れ。

施設仕様

施工会社
相羽建設株式会社
竣 工
2016年3月—11月(施工期間)
意匠設計
七月工房+サイト+アトリエ海
敷地面積
60358.68m²/18257.31坪
建築面積
572.97m²/173.31坪
延床面積
572.05m²/173.03坪
建物概要
木造一部鉄筋コンクリート造
WEBサイト
https://iush.jp/
WoodOur works

出典:「吉阪隆正|大学セミナーハウス MODERN MOVEMENT」 建築資料研究社

木造施設協議会について