施設実例

葬儀場 [地産カフェ併設の木造葬儀場「きららテラス」を拠点とした地域コミュニティづくり]

きららテラス(埼玉県鴻巣市)

運営:株式会社ダイリン

「きららテラス」は、人口減少や少子高齢化が社会課題となる中で新たな葬儀場として生まれました。葬儀場をお葬式のためだけの非日常の場とするのではなく、地産カフェや雑木林に包まれた木造建築として、多彩なイベント開催やメディアで情報を発信。その時代に適した独自性が評価され、2019年度グッドデザイン賞を受賞。子どもから大人まで誰もが気軽に訪れる場として、人と人の顔が見えるコミュニティを形成しています。

時代の変化に寄り添った、おだやかにお見送りのできる場を目指して

少子高齢化や核家族化などを社会背景に、近年のお葬式のスタイルとして「家族葬」が増えています。高齢となった際に、自身の葬儀は家族や親族、親しい友人を招いて少人数で行ってほしいという要望が増えてきたことや、格式張った葬儀ではなく、肩肘張らないアットホームな式を希望される方が多く、葬儀に対する価値観の変化が生まれています。一方で、病院と提携した葬儀会社が故人の逝去後に遺族にきちんと理解を得ないまま葬儀場へご遺体を搬送してトラブルにつながったり、葬祭業をビジネスとして捉えて異業種から参入しインターネットでの窓口会社として全国から葬儀を受諾し、地域の葬儀会社に外注するなど、葬儀を運営する業者側にも大きな変化が起きています。「きららテラス」は、誰にも平等に訪れる「死」を身近に感じながら、地域の人が日常の延長のように安心して葬儀ができること、ご遺族が大切な人のお見送りをおだやかにできる場を目指して生まれました。

「仕立てるお葬式」で、日常の延長にあるようなあたたかなお葬式を



雑木林に包まれた木造の建物で、家族や友人、大切な人に見守られながら人生の卒業式のようにあたたかなお葬式ができたら…との思いから「きららテラス」の計画ははじまりました。
葬儀場には地域の木材が用いられ、スタッフの手仕事による装花や木製家具、工芸作家が制作したオリジナル照明がホールのインテリアに温かみを添えます。地域でつながる講師による終活や美容、体操など生き生きと過ごすための多彩なセミナーの開催や、年に二度発行される「きらら通信」で旬の情報やイベント情報を発信。1985年創業の同社の理念である「仕立てるお葬式」を胸に、顔の見えるスタッフが真心を込めて地域の人と関わり、コミュニティに携わっています。

本格イタリアンが楽しめる “地域に開かれた”カフェ

家族葬ホールと同様、木の香りと日差しが眩しい「きららカフェ」。式場と同じ敷地内にありますが、ふだんは一般のお客様に対して開かれたカフェレストラン。シンプルでナチュラルなトーンに統一された店内はゆったりと広く開放的で、女性客を中心にファミリーや子ども連れで賑わいを見せています。お客様のお目当ては、イタリアンで修行を積んだシェフがつくるランチメニュー。地元野菜や旬の魚介を使った10種類近いパスタをはじめ、スープやドリア、肉料理までメニューは多彩。盛り付けなど仕上げにも趣向を凝らし、味も見た目もカフェというより本格的なイタリアン! 季節で変わるスイーツメニューも人気です。

(右上)イタリアン出身の樋渡シェフが腕を振るうランチメニューは色鮮やかでボリュームもたっぷり。(左下)片山農場の片山隆士さん。鴻巣に生まれ、銀行 勤めののち野菜づくりの研修を経て、家族とともに移り住み、オー ガニックファームを開きました。きららカフェではこの無農薬・無化学肥料栽培の野菜をふんだんに使ったメニューを提供しています。

(右上)イタリアン出身の樋渡シェフが腕を振るうランチメニューは色鮮やかでボリュームもたっぷり。(左下)片山農場の片山隆士さん。鴻巣に生まれ、銀行 勤めののち野菜づくりの研修を経て、家族とともに移り住み、オー ガニックファームを開きました。きららカフェではこの無農薬・無化学肥料栽培の野菜をふんだんに使ったメニューを提供しています。

2019年度グッドデザイン賞受受賞「きららテラス」

施設仕様

施工会社
大野建設株式会社
意匠設計
野口幸男建築設計室+吉野建築造形工房+スモールスペース1級建築士事務所
WEBサイト
https://dairininc.co.jp
その他
造園:にしお設計室
WoodOur works

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