施設実例

新しい働き方を目指した工務店の仕事場

相羽建設本社リノベーション

相羽建設本社(東京都東村山市)

運営:相羽建設株式会社

相羽建設は2020年に創業50周年を迎えました。本社リノベーションは50年の節目であるタイミングに、自分たちの手で働く場所を変えていこうとはじまったプロジェクトです。家具デザイナーの小泉誠さんにご相談し、構想から約2年間かけてついに完成に至りました。
 「言行一致」「働き方改革」「体験する」という3つをプロジェクトの目的として掲げ、3階建ての社屋のそれぞれの空間に表現。
毎日の仕事場だからこそ、機能や用途、働き方に合わせて細やかな空間設計を行い、職人さんの持っている技術を駆使して、相羽建設の象徴として誇りの持てるようなショールームとしての機能を兼ね備えた場所に。この先10年で、100年続く会社となるための、強度のある場づくりとなりました。

コロナ禍に工務店のできること

もとは大手ハウスメーカーが建築した建物を中古で購入、改修し、本社として使用していました。モデルハウスやショールームとのギャップのある、雑然とした様子を見た小泉さんは、「これはひどいですね」と一言。
コロナ禍で、暮らし方と働き方が見直されている今、工務店として何か提案できるのではないかと考えリノベーションに踏み切りました。

Before

Before

After

After

“集中・交流・共有”3つの環境が空間の核に

小泉誠さんと設計スタッフでプランを練っていく中で、空間の核として「集中」「交流」「共有」というコンセプトを考えました。設計をしたり、お客様のモデルルームの来場手配をしたりなど、それぞれが集中して仕事ができるように2階にワークスペースを構成。1階のキッチンや卓球台としての役割を持つテーブルではお昼ご飯を作ったり、食べたり。2階のホールも含めて、スタッフだけでなくお客様との打ち合わせに使用することもできます。
それぞれが、働く私たち次第でさまざまな使い方のできる空間となりました。

2階ホール

2階ホール

ABWとフリーアドレスで仕事を快適に

働き方が多様化する時代に、工務店としてどんな提案ができるだろう?と、取り入れたのがABW(Activity Based Working)とフリーアドレスいうスタイル。
社内のデスクは個人用に限定せず、フリーで使えるものになりました。
開かれた雰囲気の席、部屋の角でありながら南向きでたっぷりと自然光の入る席、照明をデスク上や手元に絞ることで、落ち着いた雰囲気のグッと集中できる席など、その日の仕事や気分に合わせて働く場を選ぶことができます。
スタッフの荷物は、2階中央にまとめて設置された個人用の収納スペースに。その隣、中央にプリンター設備のスペースを配置。プリントしたものの色味が正しく見える照明に。

それぞれの空間の機能を整理したり、使い方を限定せず余白を持たせることにより、空間によって生産性が上がり、仕事を後押しするようなプランとして提案して行けたらと考えています。

シーンによって選べる3つの「間」

3階には、紙の間・土の間・木の間という3つのミーティングルームを設けました。紙の間はもともと会長室で2面に開口のある明るい空間です。大切な契約など、紙を扱う部屋として、天井と壁に月桃紙を貼り、大きな障子が部屋の柔らかい雰囲気を演出しています。土の間は社員が全員集まることのできる広い部屋で、朝礼を行ったり全社員会議を行ったりと、相羽建設の土台を作り、耕していくための部屋となっています。木の間は3つの間の中では1番コンパクトな空間ですが、壁と天井に唐松を使った木に包まれていた部屋です。ここは、オンライン配信やオンラインミーティングのスタジオとして使用したり、レーザー加工機を用いて工房としても活用しています。

紙の間

紙の間

土の間

土の間

木の間

木の間

それぞれの「間」の入り口には、使用中を示す木のマグネットがついており、使用している時は赤い面を表にして示します。

相羽建設を象徴するアイコニックな仕掛け

新しい社屋には、相羽建設を象徴するような、個性的な仕掛けが各所に散りばめられています。

「大工の手」窓ベンチは造園家の小林賢二さんの植栽との関係を作っています。

「大工の手」窓ベンチは造園家の小林賢二さんの植栽との関係を作っています。

今回新たな組みとして、エントランスを入ってすぐのスペースをギャラリーとしました。展示の内容はスタッフが考え、定期的に企画展を催していく予定です。
現在は「職人の道具展」として、相羽建設と深い関わりのある大工さんや職人さん達が長年愛用している道具を展示中。良い意味で、自分たちを見せびらかしていくギャラリーが生まれました。

施設仕様

施工会社
相羽建設株式会社
竣 工
2021年7月
意匠設計
小泉誠+Koizumi Studio+相羽建設株式会社
敷地面積
232.66㎡
建築面積
156.51㎡
延床面積
409.75㎡
建物概要
鉄骨造
WEBサイト
https://aibaeco.co.jp/
その他
照明計画:タケデン
家具計画:こいずみ道具店
家  具:わざわ座「大工の手」 若葉家具 登米森林組合
造  園:KOBAYASHI KENJI ATELIER 小林賢二
彫  刻:北川陽司
WoodOur works

撮影:西川 公明 伊藤 夕歩

木造施設協議会について