施設実例

4事業の拠点となる木造分棟式の複合型施設「トータス下栗」

GOOD DESIGN AWARD2023 社会福祉施設として受賞!

トータス下栗(栃木県)

運営:社会福祉法人幸知会

トータス下栗は、東棟に放課後等デイサービス(就学児)と児童発達支援(未就学児)の二つの事業、西棟には就労型放課後等デイサービスと就労継続支援B型の二つの事業を営み、合計4事業が入る分棟式の複合型施設となります。多様な利用者に対して、全て栃木県産材を使用した、木の温もり溢れる快適な活動環境を提供する木造施設です。

社会的な流れもあり、建築物の木造化、木質化が進み、耐火性、耐震性、耐久性を向上させる新たな構法の開発が進んでおり、特に大規模木造においての進歩は目まぐるしいものがある。それらの多くは、新しい大規模設備が必要になったり、特殊な金物を使用する必要がある。それらは、大規模木造においては必然的なことであるが、一方では、木材を材料として出荷するだけとなり、地域の手を離れることに繋がっている。その流れの中でも、地域の人が使う施設を、地域の人と材により作るようには、どのような方法があるか模索した。山の人と話合う中で、現状の資源を使い、在来木造の範囲内で、地域のプレカットで加工できる範囲の中で、行うことが持続可能な形であり、その中で生み出される中規模木造だからこそできる新しいデザインはないかと考えた。

デザインのポイント

1 入母屋造りから発展させた屋根形状により、
  木外壁を保護する深い軒とシンボリックな大きな三角窓
2 地域産材の木材を活用を通じた
  環境に優しい持続可能な小さな循環社会型の社会を
  中規模社会福祉施設で実現
3 一般流通材を工夫して利用することで、
  連続する合掌垂木による木の温もりあふれる活動空間

すべての材に栃木県産材の杉・桧を用いている空間

この建築の関わる木材は、構造材、仕上材、造作材、羽柄材から、構造用合板も含めてすべて栃木県産材の杉・桧が使われている。
玄関の跳ね出し庇は、強度のある桧の合わせ梁を現場にて作成し、化粧垂木は長さ4mの一般的な梁を二つに割って垂木として使用している。すべてが一般流通材によって、在来木造の範囲内でつくれるようにしている。これにより地域の木材を、地域の大工の手によりつくり、地域の人が利用するという地域で完結する小さな循環が、中規模木造施設においても実現することができた。
そして、この一般流通材のみを使用してデザインするという足枷により、日本の古き良き木造建築を彷彿とさせながらも、新たなデザインを生み出すことになった。杉の化粧垂木の合掌の連続は無柱で天井が高く広い木の豊かな空間を作り出し、その形状が、外観としてもシンボリックな三角形の開口部として妻面に表しながら、光を内部へと導いてくれている。

施設仕様

施工会社
増渕組
意匠設計
株式会社中山大輔建築設計事務所
構造設計
小林構造設計室
設備設計
株式会社中山大輔建築設計事務所
敷地面積
1348.61㎡
建築面積
329.88㎡(東棟:143.96㎡、西棟:185.92㎡)
延床面積
322.21㎡(東棟:129.62㎡、西棟:192.59㎡)
建物概要
木造、在来軸組構造、2階建て
WEBサイト
http://tortoise-j.jp/  https://www.medakafarm-shimoguri.com/
その他
(東棟)放課後等デイサービス(就学児)+児童発達支援(未就学児)合計10名、(西棟)就労支援型放課後等デイサービス10名+就労継続支援B型20名


●構造・工法
主体構造・構造:木造在来軸組工法
基     礎:ベタ基礎

●敷地条件
地域地区:市街化調整区域、22条地域、道路斜線

●主な外部仕上げ
屋 根:ガルバリウム鋼板
軒 天:杉板張り
外 壁:杉下見板張り
開口部:アルミサッシ(YKKap)、木製サッシ(アイランドプロファイル)

●主な内部仕上げ
床  :防滑性ビニール床シート(東リ)、タイルカーペット(東リ)、
   コルクタイル(トッパーコルク) (東リ)
壁  :杉下見板張り、ビニールクロス貼り 
天 井:合掌垂木表し+桧粋合板、ビニールクロス貼り

●空調設備
冷暖房方式:壁掛けエアコン
換気方式:第3種換気

●給排水衛生設備
給湯方式:電気温水器
給水方式:市水
排水方式:下水道、雨水敷地内浸透槽

●防災設備
消火:誘導灯、カーテン等の防火措置、消火器具、非常警報器具
排煙:自然排煙設備
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