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[開催報告]未来の保育を考えるセミナー
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[開催報告]未来の保育を考えるセミナー

地域の木材を活用した保育施設と幼児の健康を考えるセミナー

[開催報告]未来の保育を考えるセミナー

施設名:青葉ひよこ保育園(社会福祉法人ひよこ福祉会)(静岡県藤枝市)
話し手:村上博文氏+三澤文子氏+山崎健治氏
設 計:こころ木造建築研究所 山崎健治氏

[開催報告]未来の保育を考えるセミナー

6月23日(土)雨の中、静岡県内だけでなく、大阪府・岐阜県・三重県・愛知県などの遠方から総勢40名程の保育関係者の方々にお集まりいただき静岡県藤枝市の青葉ひよこ保育園にてセミナーを開催させていただきました。

木が香る、ぬくもりある園舎

会場となった青葉ひよこ保育園は、元々地元のひよこ保育園の2園目として2017年4月に開園いたしました。保育園の方針である「どろんこと太陽を子どもたちに!」という理念とともに、今回前橋園長先生から「木の香りのするぬくもりのある園舎」が希望として出されました。園舎に入ると地元大井川流域の杉やヒノキのとてもこころ落ち着く香りとともに、トップライトから差し込むやさしい太陽の自然光によって、ぬくもりのある園舎となっています。

視察を通して、実際に木造の保育園舎にふれる

講師には、数多くの保育園において環境と幼児の行動を研究・提案されている保育学研究の専門家である常葉大学保育学部講師の村上博文先生、全国各地にて木造住宅・施設を数多く設計されているMs建築設計事務所主宰の三澤文子先生、青葉ひよこ保育園の設計者であるこころ木造建築研究所主宰の山崎健治先生にお越しいただきました。セミナーにおいては、まず2班に分かれて遊戯室、各育児室、一時保育室、中庭などを見学していきました。各場所に設計者である山崎健治先生の子どもに対する配慮や保育士にとっても使い勝手がよい工夫が随所に見られ、参加者は写真を撮ったり、メモを書いたりしていました。また最近の保育園のテーマとなっている室内の反響音の低減についても天井に吸音板(木毛セメント板)を使用するだけでなく、保育園としての意匠にも意識し、二重天井とし木ルーバーを施したり、トップライト、排気用窓の工夫によりとても心地よい空間になっていました。

21世紀の保育を支える保育施設とは

約30分の見学後には、「21世紀の保育を支える保育施設のあり方と課題」と題して村上博文先生からご講演いただきました。保育は子どもだけでなく、保育者も主役になることの大切さや、空間構成が子どもたちにどのような行動を起こさせるのか、またその際の保育者の言動がどのように変わっていくかを実際に実測をもとにご説明いただいた時は多くの保育園園長が写真を撮ったり、真剣に聞き入っていました。

地元の山の木をつかい、みんなの保育園をつくる

次に「地元の山の木で作る保育園舎」と題して山崎健治先生からご講演いただきました。地元大井川流域の木材を活用していく意義、また保育園の方々に誤解されがちな、鉄骨と比較した木材の強度、防火などについても分かり易く説明いただきました。
ご講演の最後は「心地よい、木の施設を創る」と題して三澤文子先生からご講演いただきました。山崎先生の木造の新築のお話とはうって変わって、地域の資源である既存の小学校を活用した保育園の改修という今までになかった発想のお話から始まりました。岐阜県の老朽化した園舎の建替え、しかし新しく造るのではなく、地元の廃校となった小学校の1階を市から借りて、地元の木材を使って心地よい園舎に生まれ変わらせました。次は御前崎市で進行中の「木漏れ日デッキと小道のある山」と題した地元の木材を多用した築山遊具の計画です。保育園の関係者の方々は、新築、建替えだけでなく、改修、築山遊具など幅広く、地元の木材と関わることができる事を感じ取ってもらうことができました。

室内環境の改善が利用者や職員のストレスを軽減し、経営にも好循環を生み出す

各先生方のご講演の後にOMソーラー施設建築部部長(兼木造施設協議会事務局長)の柿崎秀雄から、全国各地の施設の室内環境とOMソーラーについて報告させていただきました。特に保育施設、診療所、福祉施設において、温熱環境、空気質、室内気圧、臭気などの室内環境とともに幼児・高齢者・患者だけでなく職員の方々のストレスなどについて報告させていただきました。最近は室内環境を整えていくことで、利用者や職員のストレスの軽減そして満足度の向上につながり、結果的に経営にとっても有効であることを話される施設の方々も増えてきています。今回セミナーに参加された保育園の方々や脳の研究をされている研究者の方からも今まであまり意識していなかったが、とても参考になったとのお声をいただきました。

フリートーキングで意見交換を

最後にフリートーキングとして、各講師の先生や前橋園長と意見交換を行いました。参加者からはこのような木造の園舎で数年過ごした卒園幼児と一般園舎の幼児で、意識や行動がどのように変わっていくか大変興味があるというような発言や、現在計画中の園舎においてぜひ今回勉強したことを活かしていきたいとの前向きな発言などあり、当初の終了時間をオーバーして、活発な意見交換ができた有意義なセミナーとなったと思います。

文責:一社)木造施設協議会事務局

木造施設協議会について