オピニオン
自分らしく、居心地のよい子供の時間と空間(1)
保育環境オンラインセミナー設計編より
施設名:きらり岡本保育園(東京都世田谷区)
話し手:袴田喜夫建築設計室代表 袴田喜夫
2020年9月17日に開催いたしました「自分らしくいつまでも居たくなる空間」をテーマに保育環境オンラインセミナー設計編の収録です。
建築家の 袴田 喜夫氏から0歳から5歳まで活動の仕方、心の育ちも大きく違う子供たちが共に生活する保育園で、それぞれの年齢の位置付けを踏まえて平面的に断面的につめていくプロセスや保育者の理念を法規を含めせめぎ合いながらどのように建築に結びつけていくか丁寧にお話いただきました。
第1回はこれまで手掛けられた事例をご紹介いただいた部分です。
岡本の保育園園長のインタビューも併せてご覧ください。
http://mokuzoushisetsu.or.jp/opinion/opinion-3463/
設計事例のご紹介
坂本園長とは2012年の「きらり相模大野」から始まって小さな分園も含めると5園一緒につくってきました。今回の紹介する岡本の保育園が坂本園長としては最後の園だということで随分、時間をかけて立ち上げてきた保育園です。私の事務所では最近おかげさまで保育園幼稚園がすごく多くて、岡本で18園目なります。自己紹介も兼ねて少しお見せしたいと思います。これが相模原に2008年にできたむくどり風の丘保育園です。
今は認定こども園になっています。この保育園が坂本園長の話に出てきた、見学してすごく気にいってくださったという保育園です。半戸外の回廊が中庭を囲むようにつくった保育園で、スケールをすごく小さくつくったものですから子供たちもごく自然に親しめるような保育園になったと思っています。
これがその後につくりました保育園で、むくどり風の丘保育園と同じように木造の平屋ですけれども、入間川の河川敷を園庭に取り込むとても良いロケーションでした。敷地探しから始まって、3年ぐらい、随分時間をかけてつくった保育園です。
次に少し毛色の変わった計画ですけれども、門と一緒に延長保育室を増築してほしいと頼まれてつくった大変小さな建物です。園庭にあった大きなケヤキの木をトップライトを通じて取り込み、緑化した外壁をつくりました。
文化財や学舎の改修事例
私の事務所では実は改修の仕事も大変多くて、耐震補強、耐震診断も手掛けています。これは東京都目白にある東京都指定有形文化財の旧細川侯爵邸です。
これはフランクロイドライトのお弟子さんである遠藤新さんが設計した自由学園です。ここは広い敷地に遠藤新さんがつくられた木造平屋の小学校、中学校、高校の建物が点在しています。全体の耐震補強、改修をやらせてもらえました。遠藤新さんの息子さんの遠藤楽さんが作られた図書館の全面的な改修と、遠藤新さんがつくられた校舎では中に鉄骨を取り込む耐震改修をしています。
私の母校の東京藝術大学の図書館の改修工事です。実は私の先生が設計されたものですけれども、もともと某大手建築設計事務所が全部建て替えの計画をされていたものを大学が考え直して改修しようということで設計JVを組んでやったという大変良いプロジェクトでした。このような仕事をやっています。
文責:木造施設協議会